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超高齢社会の幸せは、だれがつくるのか?

超高齢社会のイメージの輪郭をつくっている問題や課題は本当にリアルなのか?今を生きるシニアたちを通して、超高齢社会の現実をもう一度、客観的に捉えてみる。そこから見えてくる発見や、新しい未来は何か。

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内閣府が発表している現在の世界総人口は73億4947万人(2015年)。それが2060年には101億8429万人になると言われている。総人口に占める65歳以上の割合(高齢者率)は、世界全体で1950年の時点で5.1%だったのが、2015年には8.3%、今後2060年までに18.1%に増加する見込みである。つまり、これまで“先進国”といわれる国で進んできた高齢化は“新興国”においても進展していく。その中でも、日本の高齢化率は世界一で、2017年の時点で27.5%、次いで高い比率のイタリア、ポルトガル、ドイツ、フィンランドは、21〜23%台のため、日本が頭ひとつ飛び抜けた状態となっている。さらに日本の人口は2050年には1億人程度になるとも言われているため、超高齢社会の到来は、超少子化による人口減少問題と密接に絡み合った極めて深刻な問題といえる。


では、今後の日本はどのような時代を迎えるのか。先述のとおり人口減少は全国民的イシューと言える大問題だが、東京オリンピックを迎える2020年には女性の過半数が50歳以上となり、4年後の2024年にパリオリンピックが開催される頃には「団塊世代」と呼ばれるボリューム層がすべて75歳となる。この時点で75歳以上の高齢者の数は2000万人を超える。一方、日本の総人口は減り続けるため国民の6人に1人が75歳以上(3人に1人が65歳以上)となり、これが「2025年問題」と呼ばれるものだ。ここまで、今からたった数年先の出来事である。

その後、2033年には住宅の3戸に1戸が空き家になるという予測もあり、2040年に団塊の世代につづいて「団塊ジュニア世代」が65歳となる。さらに、そこから数年の間に比較的高齢者割合の少ない東京都ですら3人に1人が高齢者となると言われている。そして2050年、日本の人口は一億人まで減るとされているのだ。

これだけ短い期間でこれほどまで劇的な変化は、世界中のどこの国も対峙したことがなく、ゆえに日本がこれからどのようにこの歴史上はじめての苦難を乗り越えるのかを注目している国や専門家も多い。

低下しない高齢者の能力とは何か
高齢者の社会参画に向けて

その対策の一つとして期待されているのが、これまで高齢者とされてきた65歳以上の人たちを労働世代として取り込む発想だ。労働力不足を解消して、人口減少によってもたらされる社会の激変を緩和させる。その担い手として、高齢者の積極的な社会参画を目論んだものだ。

そもそも、65歳を高齢者とするのは19世紀にドイツ帝国にて生まれた定義。一方、現在の日本人の身体機能レベルは、10年前の高齢者に比べて5歳から10歳も若くなっているというデータもある。65歳を超えてからも年齢に応じた働き方があるのか、それを真剣に探っていい時期にきている。『進化しすぎた脳 中高生たちと語る「大脳生理学」の最前線』(ブルーバックス)などの著書で知られる池谷裕二氏は、『脳と心のしくみ』(新星出版社)の中で、これまで加齢とともにすべての能力が低下していくと考えられてきたが、一律に衰えていくと結論付けることは早計であると述べている。その場の状況に合わせて情報を処理し、何かを生み出す能力である「流動性知能」は若い年齢でピークが訪れるが、経験や学習の蓄積を活かし課題を解決していく「結晶性知能」は、老年期まで延び続けるという。また、解剖学的知見からは脳の神経細胞の数は、3歳以降一定で100歳までほぼ変化はないと分かっており、高齢によってアルツハイマー病や認知症などの脳疾患の発生率は高まるが、それらの影響を除けば脳という装置自体は経年劣化しないというのだ。つまり、65歳という年齢は身体が健康であれば十分に働ける世代と言ってもいいのかもしれない。

THINK HUMAN PROJECTでは、これからの日本に横たわる課題を直視しながらも、ただ悲観的になるのではなく、その状況の中にある「高齢者の可能性」ついて専門家の意見をもとにフォーカスをあてていく。年齢による衰退と成長の分析から導き出される高齢者の能力を正しく捉えることが、未来のQOL=Quality of lifeを考える上で、一つの有益な情報になると考えているからだ。

参考資料:
『未来の年表』河合雅司 著(講談社現代新書)
『脳と心のしくみ』池谷裕二 著(新星出版社)
『のだうま2 記憶力が年齢とともに衰えるなんてウソ!』著 上大岡トメ&池谷裕二(幻冬舎文庫)
『50歳を超えても脳が若返る生き方』加藤俊徳 著(講談社+α新書)

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