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人間は、老化をどう迎え入れるのか?

医療やテクノロジーの進化により、健康維持・増進、病気予防が加速している現代。老化メカニズムの解明がさらに進めば、多くの人が寿命を迎えるまで若々しく元気に年齢を重ねることも可能に。老化を恐れない時代は、もうすぐそこに来ているのかもしれない。

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老化とは、時間の経過に伴い身体のさまざまな機能が減退する現象のこと。老化自体は病気ではないが、ある一定の病気を引き起こすことがあるというのは前回までに説明した通りである。老化の問題は、老化が引き起こすさまざまな現象—高血圧や血糖値の上昇、など—は目に見えるものの、老化そのものを見ることはできないことにあった。もし、老化そのものを測定できるようになったら……?老化を数値化して見ることができるかもしれない、脳波に秘められた可能性を紐解いてみよう。

自宅で手軽に計測可能
脳波をモニタリングする時代がやってくる

老化を可視化することはできないだろうか。そう考えた帝人が現在、注目しているのが脳波である。脳波とは、脳内にある神経細胞の電気的な活動を記録したもの。これまで、てんかんなどの特定疾患の治療など医療目的で計測されてきた脳波だが、脳波に基づいたセルフケアが当たり前の時代がやってくるかもしれない。というのも、自宅で手軽に脳波を計測し、健康管理に役立てられるような脳波計が開発されているからである。

従来の脳波計は頭全体に電極を装着する必要があり、その手間や煩わしさから脳波計の利用は医療機関のみに限られていた。そんななか、大阪大学発の脳波デバイスのベンチャー企業、PGV社が、高精度小型脳波センサーを開発したのだ。このセンサーはシート型になっており、絆創膏のように簡単に接着できるうえ、重さはわずか27g。体温計や血圧計を使う感覚で、自宅で手軽に脳波を計測することができる。同社はこのデバイスを使って睡眠状態や興奮状態など脳のモニタリングを行い、そこから得られたデータを病気の予測や感情の分析に生かそうと開発を進めている。


脳波に基づくセルフケアが
脳機能を活性化させる?!

「脳波というのは脳の覚醒レベルを分類する指標になります。泥のように眠っている状態、浅い眠り、目覚めているがリラックスしている、エネルギーも集中力も研ぎ澄まされている、これらの状態では、記録される脳波はまったく異なっています。さまざまな使い方が想定される脳波ですが、その中でもっとも進んでいるのが睡眠モニターです。日々、睡眠時の計測を行うことで睡眠のパターンやその深度を測ることができます。ヒトの脳波は指紋と同様、その人だけの固有のパターンが出現すると考えられていますが、自分の脳波のモニタリングを行ってその状態を解析することで、睡眠障害を改善したり、果ては脳の活性化を図ったりすることも可能になるかもしれません」(PGV社最高科学責任者、水谷治央さん)

脳の老化は40〜50代で始まると言われている。加齢により脳内に老化物質が蓄積すると脳神経細胞機能が少しずつ低下する。つまり脳の機能低下を防ぐためには、老化物質をためこまないようにすることが重要なのだが、これに役立つのが質の良い睡眠である。就寝中、とりわけ入眠後90分で現れる徐波睡眠と呼ばれる深睡眠の状態において副交感神経が優位に働き、身体や脳の修復作業が行われているのだ。実際、睡眠時間が短い高齢者は脳の萎縮が進むということが近年の研究から明らかになっている。また、中高年になると深睡眠が急激に減少することもわかっている。ということは、脳波を計測して自らの睡眠状態を把握し、睡眠の質を向上させるセルフケアを行うことは、脳を活性化させ、老化に歯止めをかけることになるのではないだろうか。

「老化と睡眠の間には明らかな相関関係があります。脳波のモニタリングから深睡眠の割合を正確に測ることができるようになれば、睡眠が老化現象に果たす役割も見えてくるでしょう。今後、それに対するソリューションが生まれれば、脳波をチェックしながら深睡眠をコントロールし、老化をゆるやかにすることも夢ではないと思っています」

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