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人間は、老化をどう迎え入れるのか?

医療やテクノロジーの進化により、健康維持・増進、病気予防が加速している現代。老化メカニズムの解明がさらに進めば、多くの人が寿命を迎えるまで若々しく元気に年齢を重ねることも可能に。老化を恐れない時代は、もうすぐそこに来ているのかもしれない。

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古来、人間の見果てぬ夢といえば不老不死だった。100年前の1900年代初頭、世界における平均寿命はたった31歳。人生30年と思えば、時の権力者たちが不老不死、せめて不老長寿を求めたのも無理からぬことだろう。例えば、古代中国にて初めて統一国家を築き、強大な権力を手に入れた秦の始皇帝は、不老不死の薬を求めて全土に遣いをやりつつ、水銀と金を調合した「妙薬」を飲んで命を長らえようとした。西洋では中世に栄えた錬金術がある。鉛から黄金を生み出すことを目的とした、古代ギリシアに端を発するこの学問では、不老不死をもたらす「賢者の石」や「エリクサー」の生成も盛んに研究された。ひるがえって、2017年の世界の平均寿命は70.9歳。たった120年で倍以上にも延びている。「人生100年時代」という、かつて経験したことのない長寿社会を目前に、私たちの人生観も変貌を遂げつつある。


人生100年時代。定年となる60歳から
さらに人生が40年も続くとしたら

これまでの社会において、定年後は「余生を送る」という考え方が主流だった。定年制度が普及した1950年代半ばには、55歳で引退するのが通常だったが、当時の日本人男性の平均寿命は60代半ば。余生は10年足らずという計算になる。ところが、遠からず訪れる「人生100年時代」には、引退後の人生が40年も続くことになる。当然、人生設計が変わってくる。

そうした人生100年時代の動きに拍車をかけるのが、高齢者の身体機能の若返りである。例えば、歩行スピードだ。東京都老人総合研究所の調べでは、1992年における64歳の歩行スピードは、2002年における75歳とほぼ同じ。つまり10年前に比べると、11歳も身体機能が若返っていることになる。医療や食生活はもちろん、健康意識の高まりも高齢者の若返りを後押ししているのだろう。
一方、このような健康意識の高まりは健康寿命の延びにも寄与している。健康寿命が延びれば平均寿命と健康寿命の差は縮まるのだが、平均寿命と健康寿命の差とは介護などが必要となる期間であり、この差を小さくすることが社会保障費や医療費の抑制に繋がると考えられているのだ。2016年の国民生活基礎調査によれば、平均寿命と健康寿命の差は女性が12.35年、男性8.84年。さらなる改善とそれに向けての取り組みが期待されている。


老化に伴う機能低下を緩やかに!
注目の物質が、高齢者の役割を変える?!

来たる人口減少・超高齢社会を前に、私たちがいま注目すべきなのは、平均寿命ではなく健康寿命である。健康寿命が延びて精神的にも肉体的にも高い機能を保てれば、高齢者が社会と積極的に関わって有意義な余生を送ることができるからだ。その健康寿命の延伸を実現するかもしれない注目の物質が、 “NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)”だ。“NMN”は老化に伴う様々な症状を改善し、全身の機能を高める効果を持つことから、多くの研究者の間で話題になっている。

「老化そのものを止めることはできないけれども、老化に伴う機能低下を最低限にとどめることで、いわゆる『ピンピンコロリ』を実現することができるかもしれない」と語るのは、“NMN”研究のパイオニアであるワシントン大学医学部発生生物学部門・医学部門の今井眞一郎教授だ。“NMN”をうまく活用できれば、高齢者は介護や助けが必要な社会的弱者ではなく、知識や経験によって社会をリードしていく存在になり得る。“NMN”の抗老化作用が、これからの社会のあり方を変えるかもしれないのだ。

次回は今井教授の研究を紐解きながら老化のメカニズムを探り、帝人が考える「未来のQOL= Quality of life」ついて検証してみよう。

参考資料:
Angus Maddison「The World Economy」
世界経済フォーラム(WEF)

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