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「感じる」は、言葉を超えられるのか?

世界は、多様な価値観を受け入れ合う、ポストグローバリズムの時代へ。国・人種・性・世代間のギャップなど、言葉だけでは伝わらなかったものを、感性にフォーカスし、その可能性を探る。

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インターネットの普及によって世界は繋がり続け、世界の差異は小さくなっていくかのように思われた。だがグローバリズムに対する反動は、むしろ世界の差異を尊ぶべきという、多様性の時代を導くことになっていく。国・人種・性・世代間など、自分とはさまざまに異なる相手を認め合い共存することが求められる時代において、重要視されるのは言葉以外での「共感と共有」によって互いの心理的ギャップを埋めていく方法ではないだろうか。


ビジネスにも応用される
潜在的な心の動きを読み解く手法たち

例えば近年、脳の反応を計測することで消費者動向を調査する、“ニューロマーケティング”という手法が注目を集めている。人間の視線の動きを計測するアイトラッキングや表情認識、あるいは医療現場で使われているMRI(magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像法)技術の応用により脳の活動を画像化するfMRI(functional magnetic resonance imaging)などを用いて、言語化される以前の潜在的な欲求を読み解こうとしている。

人間の表情の変化から、その人が“本当に思っていること“を分析することは、機器を使わずとも古来より対人コミュニケーションスキルの一つであったが、分析者の経験や能力に依存するところが多かったり、処理能力にも限界があった。先ほど挙げた技術は、分析者のスキルに依存せずに心の動きを可視化しようとするものであり、さらには、心臓の拍動や音声の波形から、本人が自覚しているかどうかにかかわらず感性情報を機械的に抽出するという研究も進められている。その人が持つ趣味嗜好やストレス耐性などの性格までを判断することができるようになれば、ビジネスシーンでは、単に消費者インサイトを探る広告マーケティングだけにとどまらず、社員のモチベーション調査などへの幅広い活用が今後期待できるのではないか。


感情はいつか電子データ化され
瞬時に共有されるのではないか

テクノロジーの進化によって、心の動きに関する情報量が飛躍的に増えたとき、それをどのように共有したらよいだろうか。音楽や美術といった特別な能力を必要とする表現方法を除けば、人間は心の動きを言語化して共有してきた。それゆえに、情報量の少なさに加え、言葉の壁とその背景にある文化の違いの影響を避けることは難しかった。その問題もテクノロジーの進化によって超えられる可能性が示されつつある。

未来の通信やデバイスの可能性を考えるとき、2015年にInstagramが実装した絵文字単体でのハッシュタグには、何かしらのヒントが隠されているのかもしれない。

テキストのハッシュタグではなく、感情そのものをビジュアル化した絵文字だけのハッシュタグは、同じ“感覚を“もった人同士を結びつける。この体験は、言語に頼らないコミュニケーションで人々がつながり、分かり合えることができる可能性を示唆したとも言えるのではないだろうか。

絵文字のハッシュタグが誕生した背景には、通信技術の進歩に加え、それらをネイティブに扱える世代の存在がある。通信規格のGの発展を目安に振り返るならば、1980年の1G世代から現在の4G世代まで、ここ30年で通信速度はおおよそ10,000倍までに膨れ上がっている。現在の通信規格の4Gから、2020年のスタートが見込まれている5G回線になると、さらにこれまでの約10倍の高速大容量のやりとりが実現し、同時多接続と低遅延の要素が加わる。驚くべきことに、技術的には「触覚そのもの」が共有できるのでは、とも言われている。

THINK HUMAN PROJECTメンバーのひとり、三津山悦子は言う。

「これまでの100年、帝人が素材あるいは医薬品・医療機器メーカーとして提供してきた価値は主に物質的なものでした。しかし、近年の科学技術の進歩によって人々の生活が物質的に充足する一方、地球環境変化に対する不安や情報格差などの新たな問題に直面するようになり、より良く生きるためには精神的な豊かさを充足させることが一層重要になっています。メーカーでの製品開発において、『モノよりコト』『機能より使いやすさ』などと言われるようになったのも、その流れのごく一部と考えます。その中で、引き続く100年も人々の豊かさに貢献しうる技術革新や商品開発を行っていくためには、私たちはアプローチを変革する必要があります。その一端として、心の充足に対して大きな役割を果たす“感性”に私たちのプロジェクトは注目しました。人間の感情を測り、言語を介するよりも精緻に他者と共有できるテクノロジーがあったなら、どのように使うことで精神的な豊かさの向上につなげられるか考えてみたいと思います。」

次回以降、「触覚」をキーワードにそのさらなる可能性を探っていく。

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