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生物38億年の進化を、まとえないか?

人間の生活と共にある繊維や衣服が、もし劇的に進化できたら、社会自体が大きく変わるかもしれない。
生物が38億年かけて進化してきた環境適応能力を理解し、あらたなものづくりを探る。

VOL.1

ヒントは、自然の叡智にあり。バイオミメティクスが導く革新的な繊維のある暮らし

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現在、世界では年間およそ9,477万トンの主要繊維が生産されている。これは史上最高の数値であり、その生産量は年々増加を記録している。繊維は世界的に成長産業とされるが、それは衣服のライフスパンが短くなっている現在のファッション事情が大きく関わっているかもしれない。経済産業省の統計によれば、日本人は年間でおよそ10kgの服を買い、9kgを廃棄しているというが、2050年には衣類に使用する天然資源の消費量が、2000年度のおよそ3倍に膨らむという指摘がある(UNECE)。


人類は、繊維によって進化を遂げてきた

人間が生きていく上で、最も大切なものは? と問われれば、多くの人が「衣・食・住」と答えるだろう。「衣」の原料となる繊維は、人類の進化とともに発展してきた。今から1万年以上も前のから、私たちの祖先は植物や動物から繊維を集めて糸を紡ぎ、布に仕立てていた。ここで繊維の歴史を振り返ってみよう。

天然繊維の発祥の地は中近東と言われている。主な生産地は麻のエジプト、コットンのインド、シルクの中国、そして毛織物のペルシャが知られている。生活必需品として開発された繊維だったが、やがてそれは贅沢品、あるいは交易品として、世界中に広まった。長く天然繊維に頼ってきた私たちの社会に一大転機が訪れるのは、19世紀のこと。産業革命をきっかけに、1884年、フランスで絹のような肌触りをもつ「夢の化学繊維」、レーヨンが発明されたのだ。続いてポリ塩化ビニール、ナイロン、アクリル、ポリエステルと、革新的な合成繊維が次々に登場、これらは天然繊維に取って代わり一時代を築くことになる。

安くて丈夫、大量に作れ、そのうえ高品質。こうした特性は大量生産・大量消費の時代にマッチした。炭素繊維やアラミド繊維の登場によって、自動車、通信、宇宙へと、その用途は拡がりつづけている。

帝人フロンティアは、「暮らしは、せんいで進化する。」というコーポレートメッセージを掲げている。繊維とは、私たちの暮らしをより豊かに進化させるもの。であるとすれば、繊維だってサステナブルでなければならない。産業革命より以前、天然繊維を扱う職人たちは、自分たちが手にしているものが自然の恵みであることをよく理解していた。なるべく地球に負担をかけず、できるだけ自然に還るものを。私たちが目指すべきは、自然の叡智を搭載した繊維なのではないだろうか。


生物を模倣して未来のテクノロジーを考える

さて、ここにバイオミメティクス(生物模倣)という考え方がある。太古から進化し続けてきた生物の造形、機能、行動などを模倣し、医療や工学、産業に活用していこうというものだ。古くは鳥の翼を模した人力飛行機やオナモミの実の形状をアレンジした面テープ。近年では蚊の吸血針の形状にならった、無痛の注射針などが知られている。38億年かけて進化を遂げて、環境に適応してきた生物から、イノベーションの足がかりをつかもうという考え方である。1950年代に初めて提唱された当時はもっぱら外見のみを模倣していたが、電子顕微鏡やそのほか科学の進歩により、現在は動植物がもつ微細な構造、特殊な機能、そして細胞機能までを解析・活用しようと研究が進められている。


ユリクビナガハムシ

ユリクビナガハムシ 中脚

ユリクビナガハムシ 後脚

ニホンヤモリ

ニホンヤモリ 脚先拡大

ニホンヤモリ 脚先拡大

接着力の高い脚先の構造を持つユリクビナガハムシとニホンヤモリ。それら類似する構造が、国立大学法人浜松医科大学と帝人フロンティアの共同で開発された生活アシスト手袋および指サックの「ナノぴた™」の表面構造の参考になっている。

帝人フロンティアでは、バイオミメティクスに新時代の循環型繊維のヒントがあると考え、この分野のトップランナーの一人である浜松医科大学 光尖端医学教育研究センターの針山孝彦特任教授とタッグを組み、私たちのQOL(Quality of Life)を向上させる製品の開発を行なっている。

「いま、日本には問題が山積している。これまでの大量消費を省みつつ、爪に火をともすような生活ではなく、人と人がコミュニケーションを取りやすい、笑顔になれる社会を作らなくては。そのためにも、日本の自然観を織り込んだバイオミメティクス研究で、良い意味での繁栄を目指したい」と針山教授。

帝人が考える、新しい繊維がもたらす「笑顔になれる社会」とは。次回からは、バイオミメティクスが示唆するものづくりの可能性について探っていこう。

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